鳥類学者 無謀にも恐竜を語る
今回、紹介するのは川上和人さんの
『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』です。
今回は小説ではなく、エッセイなので感想と言うより、読んで得た知識を紹介したいと思います。
本格的に話に入る前に、少しばかり身の上話にお付き合いいただければな、と思います。
他の投稿でも書かせてもらっていますが、私は今年の4月までは学生で、大学に通っています。
そして、なんと学んでいるのは生物学なのです。
とはいえ、生物学って何を勉強するの?と思われると思います。実際に色んな人に『何を勉強してるの?』『それを学んで将来は何になるの?』と聞かれます。
その質問にこの場を借りてお答えしますと、私の通う生物学部では主に、細胞やタンパク質など生物の体の内部に関する生化学や、微生物や菌について、更には動物の生態、そして動物の調査方法などを学びました。
そしてこれらを学んで、それを活かしたいと思って社会に出る場合、建設系の環境調査や食品開発の方へ進む人が多いらしいです。
ちなみに、私は学んだことを仕事に活かすつもりは毛頭なかったので、生物とは全く関係のない所に就職を決めました。
まあ、学んでいることが学んでいることなので、本書はとても魅力的でした。
そして私の専攻は生物の中でも爬虫類なのです。更に身近に爬虫類の研究者だったり、鳥類の研究者だったりがいるので、すごく馴染みがあったので読まないわけにはいかないと、思い読み始めました。
とはいえ、私の専攻はあくまで爬虫類で、鳥類でも恐竜でもありません。なので知っていること、知らないことも色々含まれていました。
更になまじ知識がある分、「ふーん、そうなんだ」と受け流すことができず、知らない知識に出会ってはしっかりと調べて、メモを取ったり、自分なりに覚えやすいようにまとめたりして、読書というよりは大学でやっている論文検索などに近いノリで、楽しく勉強しているので、とても読む速度が遅いです。
なので、まだ十数ページしか読んでいません。
けれど、その十数ページの中でもすごく勉強になったので途中経過を投稿したいと思います。
先程も書きましたが、本書は小説ではないので、ネタバレとか気にせず書いていきたいと思っています。
まず最初にタイトルに『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』とありますが、内容もタイトル通りです。本書を書かれた川上和人さんは鳥類学者です。決して恐竜学者ではありません。
となれば、全くの畑違い、関係がないじゃないかと思われるかもしれません。
確かに畑違いではありますが、全く関係がないわけではありません。
なぜなら、鳥類は『恐竜』から進化したと言われているからです。
となると、『鳥類』は『恐竜』の子孫ということになります。
あまり恐竜や生物、雑学などに触れない方は驚かれるかもしれません。
ヘビやトカゲ、カメなどの現在存在している爬虫類ではなく、『恐竜』は『鳥類』に進化したのです。
『鳥』の姿からジュラシックパークに出てくるような『恐竜』を想起することは難しいと思います。それならヘビやトカゲなんかが『恐竜』の子孫と言われた方が納得がいくと思います。
ですが、今ではジュラシックパークに登場していたティラノサウルスはあのような姿ではなく、鳥のような羽毛が生えていたと言われています。
なので、『恐竜』の子孫である『鳥類』を専門に研究しているということは、『恐竜』との接点もゼロではないというわけです。
とはいえ、本書にも書いている通り、川上氏は正式に恐竜について学んでいるわけではなく、鳥類学者の常識や知識に基づいて、『恐竜』について考察しているので、確固たる根拠は乏しいと思われます。
そのことも考慮して読んでいただければ幸いです。
まず、一概に『恐竜』と言っても、詳しく学んだわけではない我々にとって『恐竜』の概念は曖昧です。
何が恐竜で、何が恐竜じゃないのかがわからないのです。
『恐竜』と呼ばれるのは以下の二つの分類群を指すそうです。
『鳥盤類』と『竜盤類』の二つです。
この二つの分類群は恥骨の向きによって分類されているようです。
恥骨が後ろ向きの骨盤を持つのが『鳥盤類』で、その多くが植物食性。
・トリケラトプスなどの角竜類(つのりゅうるい)
・パキケファロサウルスなどの堅頭竜類(けんとうりゅうるい)
・ハドロサウルスなどの鳥脚類(ちょうきゃくるい)
・ステゴサウルスなどの剣竜類(けんりゅうるい)
・アンキロサウルスなどの鎧竜類(よろいりゅうるい)
が含まれます。
一方で、恥骨が前向きの骨盤を持つのが『竜盤類』です。
・アパトサウルスなどの竜脚形類(りゅうきゃくけいるい)
・ティラノサウルスなどの獣脚類(じゅうきゃくるい)
が含まれ、中でも獣脚類は肉食性が多かったようで、このグループは二足歩行していたとされています。
以上が『恐竜』と呼ばれています。
そして上記の『恐竜』の全てがそれぞれ『鳥類』に進化したのではなく、
この中の獣脚類が『鳥類』に進化したとされています。
他には、『鳥類』が『恐竜』の子孫だとわかる前、恐竜は系統的に一番近縁だったワニと比較されていました。
なので、ワニはヘビやトカゲなどの現生爬虫類よりは『鳥類』に近いようです。
そしてカメについても驚きの情報があります。
元々カメは頭蓋骨の形状から原始的な爬虫類だとされていました。けれど最近の研究では考えが改められ、どちらかというとワニや鳥に近いと考えられています。
そして、本書を読むまで私も勘違いしていたのですが、プテラノドンなどの翼竜、魚竜、ドラえもんの映画などでも登場した首長竜は厳密には『恐竜』ではないそうです。
これについてはとてもびっくりしました。
以上が現段階で読み終わった分の内容でした。
また区切りがあり次第、続きを書きますのでよろしくお願いします。