魍魎の匣
初めての投稿であったり、自己紹介の中で趣味を読書を掲げ、読んだ本にも言及していくと明言いたしましたので、有言実行していきたいと思います。
ただ、もし読んでくださる方がいらしても私が読んだ本を読んだことのある人ばかりではないでしょう。なので私の投稿を通して、その本に興味を持ったり、読まないまでも、そういった内容の本があるんだくらいで認識していてもらえれば幸いです。
そういうことなので、できるだけネタバレに気を付けていきたいと思います。
今回、私が読んだのは京極夏彦先生が書かれた『魍魎の匣』という本です。
この本は京極夏彦先生が執筆されている『百鬼夜行シリーズ』という長編推理、伝奇小説の第2作として出版されました。
では、何故第1作の作品ではなく、第2弾からの紹介なのかと言いますと・・・・
単に第1作である『姑獲鳥の夏』は随分前に読んでしまって、紹介できる程はっきり覚えているわけではないので、読み直した際に紹介させていただきますね。
第1作を紹介していないのでここで概要をお伝えします。
まずジャンルとしては前述にある通り、推理と伝奇です。
推理はわかる通り、ミステリーですね。事件が発生してそれを解決していくアレです。
次が何ともわかりにくいですね。説明しますと昔の伝承や噂などを作者独自の観点から史実とは異なる歴史を題材にしたものだそうです。
まあ、読んだ感じ、オカルトかなと感じました。
なのでまとめるとオカルトミステリーですね。
時は昭和。私たちが生きている現代ほど科学や医療が発達していない時代ですね。その時代は科学が台頭しつつも、未だに非科学的なことが根強く信じられていた時代でもあります。
そこで当時の常識ではありえない事件が起こります。警察も捜査はするが非現実的な出来事なだけに上手く機能しない。そこで伝奇やオカルトに造詣の深い主人公に白羽の矢が立ちます。
勿論、相談の内容は『怪異が起こった』というものです。けれども主人公はオカルトや伝奇に造詣が深い一方で、徹底的な現実主義げ、あたかも『妖怪』が引き起こしたように思える事件を、科学的に、現実的に説明しつつ真相を解明していくという内容です。
そして今回も事件が起こります。前作の『姑獲鳥の夏』で起こった事件に関係づけられていたのは題名にもある『姑獲鳥』という妖怪です。ということで、今回の事件は『魍魎』という妖怪が多く登場し、事件を引っかきまわしていきます。
さてさて、本当に面白かったので、ネタバレしてしまいたくなりますが、できるだけ我慢したいと思います。
なので、見所だけ伝えたいと思います。
・伏線や仕掛け
これは何と言ってもミステリーの醍醐味ですよね。結構ページ数があるのですが、至る所に伏線があります。気を付けて読んでもラストになるまでまるで理解できません。なんで理解できないのか。まず伏線が直線的ではなく、わかる人にしかわからない結構婉曲な伏線なんです。しかもその多くが『妖怪』や『伝承』がらみであり、京極先生もそっち方面に造詣が深い方なので、それ以上の知識がなければ難しいと思います。
でもラストに迫るにつれて、一気に今まで難しいなとか、何言っているんだろうとか、全然無関係なんじゃ、と思っていた部分が明らかになっていきます。
更に、『妖怪』と事件の結び付け方にも何というかセンスというような美しさを感じました。そしていくつもの事件が並列して進行しているのですが、その事件同士の関係にも度肝を抜かれました。まさに一筋縄ではいかない作品でした。
今のところ百鬼夜行シリーズでは一番のお気に入りです。とは言ってもまだ2作品しか読んでませんが...